2018年1月からスタートする「つみたてNISA」。
これは現行のNISAの後継制度で、NISAでは実現出来なかった「長期の資産形成」に役立つ運用方法となりそうなんですね。
その通りです。
現行のNISAでは、運用益の非課税期間は5年でしたので、非課税期間が一気に4倍になったということです。
一方、この「つみたてNISA」と同様に長期の資産形成(老後の資産形成)に同じように役立つ積み立て運用手段に「個人型確定拠出年金iDeCo」というものもあります。
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「つみたてNISA」と「イデコ」。
どちらも毎月積立をして数十年単位で投資の非課税メリットを享受できる商品になっていますが、実際のところ、どちらで運用するほうがよりお得なのでしょうか?
現行のNISAとiDeCoを比較するとかなりの違いがあって、活用方法も明確に違っていたりするのですが、「つみたてNISA」は良くも悪くも、立ち位置自体がイデコに近づいてしまってますので活用方法に迷ってしまうと思います。
今回はそんな「つみたてNISA」と「個人型確定拠出年金iDeCo」について徹底比較していきたいと思います。
その違いや活用方法が見えてくるはずですよ。
それではさっそく行ってみましょう。
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つみたてNISAとiDeCoを比較
まずはっきりと言えることは「つみたてNISA」も「イデコ」も長期の資産運用が可能で、且つ節税効果の高い非常に優れた運用手段だということです。
まずはこのふたつの制度を一覧表で比較してみましょう。
個人型確定拠出年金iDeCo | つみたてNISA | |
投資対象商品 | 投資信託、定期預金、保険 | 投資信託(審査基準が厳しいため初心者でも安心) |
非課税運用期間 | 掛金が拠出できるのは60歳まで。ただし運用は10年の延長が可能 | 最長で20年間 |
投資上限金額 | 5,000円〜68,000円
職種などによって異なる |
年間40万円まで。最大800万円(月間3.3万円程度) |
節税メリット |
|
運用益が非課税 |
投資商品の売却 | 売却はいつでも可能。他投資商品への乗り換えも出来る | 自由に売却出来るが、その分の非課税枠は翌年まで復活しない。 |
流動性 (資金の引き出し) |
原則60歳まで不可。50歳以降に加入した場合は最長で65歳まで引き出せない | いつでも可能 |
※横にスクロール出来ます。
そうなんですよね。もちろん違うところも明確にあるのですが、類似点も多いんです。運用のスタイル(長期スパンでの運用)や、運用益が非課税という点に関してはどちらも同じなんですね。
一方で、明らかに違う点は大きくは3つになります。
- iDeCoは掛金が所得控除となるので節税効果が更に高い
- iDeCoは投資信託の乗り換えが自由(スイッチング)
- つみたてNISAは流動性リスクがない(いつでも解約、出金が可能)
どちらのほうが優れているということではなく、それぞれで「強み」となる部分は違いますので、運用する資金の性質やその出口(使い道)を考えた上でどちらかを活用、または併用していくと良いと思います。
では、明らかに違うこの3点についてそれぞれ解説していきましょう。
iDeCoは掛金が所得控除になるため節税効果が強烈!
「イデコ」にしても「つみたてNISA」にしても「運用益が非課税」というのは共通のメリットです。
しかし「イデコ」の場合は更に「掛金が全額所得控除になる」という凄まじいメリットがあります。これはイデコに加入する上での最大のメリットです。ハッキリ言って強烈です。
所得控除というのは「所得から差し引くことが出来る経費」という意味です。
たとえばiDeCoに年間で81万6,000円の掛金の拠出(投資)をしたとしましょう。(これが最大値です。)
すると、この81万6,000円は全額が「所得控除」の対象となります。
つまり、81万6,000円分の所得が無かったことになりますので、所得税や住民税といった「所得に応じて支払う税金」を払っている人は「81万6,000円×税率(※)=還付される税金」となるわけです。
つまり、収入の大きい人が「節税メリット」を考えた場合は「つみたてNISA」よりも「イデコ」のほうが旨味があると言えます。
逆に専業主婦など、そもそも所得がない人は税制優遇の恩恵が受けられませんので「つみたてNISA」のほうが向いていると言えそうです。
受け取り時に課税される!?
前述した通り、個人型確定拠出年金iDeCoは「入口部分」では「所得控除」として非常に大きなメリットがありますが、受け取り時(出口部分)では所得として課税されますので注意が必要です。
掛金を払うとき(81.6万円)は所得控除として控除されますが、それを年金として受け取るとき、仮に100万円(運用益込)になっていたとしましょう。
するとこの受け取り時には100万円の所得として税金がかかってしまうんです。
つまり入口はメリットですが、出口では逆に運用益部分も含めて課税対象になるわけなんです。
ただし、個人型確定拠出年金を受け取るときは通常の所得ではなく「退職所得(一時金として受け取る場合)」や「年金所得(分割で受け取る場合)」として扱われるため、満額課税されるわけではありません。
多くの方は受け取り時「ほぼ非課税」に出来るはずです。
iDeCoは投資信託の乗り換えが自由(スイッチング)
続いては運用スタイルについてです。イデコは投資信託の乗り換えが自由なんです。
あまりピンと来ないかもしれませんが、すごく重要なことですのでよく理解しておきましょう。
iDeCoは掛け金の運用を自由に変更できます。たとえば、「A」という投資信託を買っているけど、「B」という投資信託にスイッチング(乗り換え)が可能ということです。
たとえば、相場の先行きが怪しい時などは、運用している投資信託をいったん売却して現金(預金)にしておいて、相場が安定したら投資信託を買いなおすといったこともできます。
一方で「つみたてNISA」は売却することは出来ますが、売却をすると再投資はできません。
スイッチング(乗り換え)も出来ません。最長20年のつみたてNISAの非課税期間をフル活用するなら、買ってそのまま置いておくということしか出来ないんです。
このような意味で、「運用の自由度」についてはiDeCoの方が圧倒的に高いです。
つみたてNISAは流動性リスクがない(いつでも解約、出金が可能)
さて、「つみたてNISA」と「iDeCo」を比較したとき、「運用資産の使い道」という点では「つみたてNISA」のほうが圧倒的に優れます。
つみたてNISA | いつでも市場にて売却が可能。売却したその資金はいつでも好きなときに出金出来る |
iDeCo | 年金資金は原則60歳になるまでは払い出し不可。また、50歳以降での加入の場合は61歳〜65歳以降になる |
「つみたてNISA」は「20年の非課税期間」というものはありますが、投資信託を売ってしまえばいつでも換金可能で、そのお金を出金することができます。
例えば実際に運用する期間は10年でも、5年でも、極端な話1週間でも3日でもいいわけです。
ですので、これらの制度は「運用するお金の性質」を考えて利用することが大切です。
- 老後のための資金→「iDeCo」または「つみたてNISA」
- 60歳以前に使う予定がある資金→「つみたてNISA」
こんな使い分けになるはずです。すぐに使う予定があるのに「イデコ」で積み立ててしまってはお金を引き出せませんからね。
たとえば、マイホームの購入資金、子どもの進学資金といったように、運用者が「60歳になる前に使う予定の資金」であれば、iDeCoではなく「つみたてNISA」が適しているわけです。
つみたてNISAとiDeCo!!ふたつの制度を徹底比較!! まとめ
いかがでしたか?
本日は「つみたてNISAとiDeCo(イデコ)!!お得なふたつの制度を徹底比較!!」と銘打ち、それぞれの特徴をわかりやすく解説してきました。
「イデコ」と「つみたてNISA」の違いや使い方がお分かり頂けたのではないでしょうか。
どちらも非常に優れた制度であることは間違いありませんので、「資金の性質」をよく見極めて効果的に運用していってくださいね。
それでは本日は以上になります。
最後までお付き合い下さいましてありがとうございました。
ではまた^^