こんにちは、オタ助です。
前回記事までで「NISA(少額投資非課税制度)」のメリットやデメリット、来年2018年1月から始まる「つみたて(積立)NISA」のことについて詳しく解説してきました。
「NISA」や「つみたて(積立)NISA」についてはしっかりとご理解頂けたと思います。
おっ。さすがです。
まだ少しだけ眠たいお話が続いてしまいますが、なんとか頑張ってついてきてくださいね。
※今記事は「NISA」と「つみたてNISA」が理解出来ていることを前提として話を進めていきます。
<NISAとは>
NISAとは少額非課税制度のことで、通常であればおよそ20%課税される売却益や配当金(投資信託の場合は分配金)が非課税(年間投資額120万円まで)になります。また確定申告が不要になるなど、投資家(初心者含む)にとって嬉しいメリットが多くあるため非常に人気が高く、2014年に制度が始まって以来たくさんのNISA口座が開設されています。(平成28年12月時点での口座開設数は1,069万口座、総買い付け額は9兆4,756億円)
詳しくは「NISA(少額投資非課税制度)」をご覧ください。
さて本日はですね、「ジュニアNISA」についてのお話しになります。
「ジュニアNISA」の名前くらいは聞いたことがありますか?
そうですね。テレビCMで随分と流れてましたね。
「ジュニアNISA」というのは、平たく言えば「20歳未満の未成年(0歳から)を対象としたNISA」ということになります。
そうなんですよ。
ただし、20歳以上が利用可能な「NISA」とは仕組みがやや異なる部分もありますので、その辺りも含めて詳しく解説していきたいと思います。
それではさっそく行ってみましょう。
スポンサーリンク
ジュニアNISAとは
ジュニアNISAは何で作られた?
赤ちゃんのみならず、幼稚園に通う小さなお子さんや小学生などが、実際に資産を運用するなど現実的には不可能です。
ではなぜ「ジュニアNISA」という制度が創設されたのでしょうか。
その答えは至極単純で、ジュニアNISA創設の目的というのは、「子供を持つ親世代の投資を促す」ということなんです。
ジュニアNISAの利用対象年齢は0歳からとされていますが、前述の通り実際にはそんなことは不可能ですよね。
子供は投資など出来ませんので、現実には両親や祖父母などの親権者が「代理運用」をするということになります。
ですのでまさしく「子供を持つ親世代の投資を促す」ための制度というわけなんです。
ちなみに…。ジュニアNISAの利用対象者はおよそ2000万人です。
仮に利用者がそのうちの5%で、ひとり当たりの投資額が50万円と仮定すると、なんと年間で5000億円もの資金が市場に流れることになります。(買い注文が出れば株価も上がりやすくなり景気を刺激します。)
子供1人あたり年間80万円の非課税枠が増える
<ジュニアNISA概要>
利用対象者 | 日本在住の0歳〜19歳 |
非課税枠 | 年間80万円 |
非課税期間 | (※1)5年間(5年目の年末まで) |
投資可能期間 | 2023年まで |
資金の引き出し | (※2)原則18歳までは不可(高校3年生の12月末) |
口座の管理 | 親権者 |
金融機関の変更 | 不可 |
※1 非課税期間はNISA同様、丸々5年間というわけではありません。例えば2017年1月初旬から2021年12月末までであればその運用期間はほぼ5年ですが、2017年12月から2021年12月までですとその運用期間はほぼ4年ということになってしまいます。
※2 資金を途中で引き出すことは可能ではありますが、その場合はジュニアNISAの口座自体が廃止され、過去に生じた利益すべてに課税されますのでジュニアNISA最大のメリットである税制優遇の恩恵を受けられなくなります。(自然災害など特別な理由がある場合を除く)つまり通常の株取引と同じ位置づけになるわけです。
ジュニアNISAのことをもう少し簡単に説明すると、現在NISAを利用している家庭が「ジュニアNISA」を上手に活用すると「家庭内の非課税枠が大きく増える」ということなんです。
そうなんです。
例えば子供が2人いる夫婦の場合、今までのNISAのみですと、その非課税枠は年間240万円ですよね。(一人当たり120万)
しかし、子供2人分のジュニアNISA枠160万円(80万円×2)が加わることでその家庭の年間投資金額の上限が240万円から400万円まで跳ね上がるわけなんです。(NISAもジュニアNISAも5年間の非課税投資が可能なので、最大1,200万円から2,000万円に上がったことになります。)
NISAとジュニアNISAの違い
NISAとジュニアNISAの大まかな違いを表にして確認してみましょう。下図をご覧ください。
NISA | ジュニアNISA | |
対象者 | 日本在住で20歳以上 | 日本在住で0歳〜19歳 |
必要提出書類 | 基準日の住所が記載された住民票・除票及びマイナンバー | マイナンバー |
金融機関の変更可否 | 可 | 不可 |
取引主体者 | 口座名義人(本人) | 親権者 |
非課税投資枠 | 120万円/年 | 80万円/年 |
非課税期間 | 最長5年間 | 同左 |
非課税制度期間 | 2023年(平成35年)まで | 同左 |
対象商品 | 上場株式、投資信託 | 同左 |
払出の制限 | なし(いつでも払出可) | 原則18歳まで不可(前述参照) |
どうです?似ているようでかなり違いますよね。
「非課税投資枠」や「対象者」「払出の制限」については前述しましたので、ここでのポイントは「金融機関の変更可否」ですね。
では「金融機関の変更可否」について解説していきましょう。
金融機関の変更可否について
「ジュニアNISA」は一度どこかしらで口座を開設してしまうと、別の証券会社や金融機関に変更することは出来ません。
通常の「NISA」に関しては2015年に制度が改正され、1年に1度他の金融機関に口座を変更出来るようになりましたが、今のところ「ジュニアNISA」では口座変更は出来ませんので注意してくださいね。
もちろん納得した上で口座を開設し、その後も特に問題なく使えているのであれば良いのですが、なかなかそうもいかない場合もあるんですよ。
NISAに限らず日々の生活の中でも、使ってみないとわからないことってけっこうあるはずです。「自分に合わないな」という時に物事を変更出来ないのはけっこうツラいはずですよ。
例えばこんなことがあるかもしれません。
- 格安手数料に惹かれて選択した証券会社の担当者がまったく相談に乗ってくれない。
- アメリカ株を買いたいのに開設した金融機関では取り扱ってなかった。
- テレビで宣伝している大手だから安心して開設したら手数料がめっちゃ高かった。
もちろんこれらは完全にリサーチ不足ですが、まだ始める前の初心者の段階で様々なことを加味しながら金融機関や証券会社を選択していくのは非常に困難と言えます。
ですので、口座を開設する際は「十分なリサーチ」や「専門家にアドバイスを求める」「すでに始めている人の意見を聞いてみる」など慎重に進めてください。
特に初心者の方ですと「手数料の安さ」に惹かれがちです。
もちろん手数料が安いに越したことはありませんが、ジュニアNISAというのは完全に「長期投資」に区分されるものです。
長期投資というのは何度も売買を繰り返すものではありませんので、むしろ多少手数料が高くても「サービスの良さ」や「取り扱い商品の充実度」で選ぶほうが良いかもしれません。
ですので、口座を開設される金融機関の選択には充分にご留意ください。
「ジュニアNISA口座」と「課税ジュニアNISA口座」の違い
ジュニアNISAを始めると「ジュニアNISA口座」と「課税ジュニアNISA口座」の「ふたつの口座」が開設されることになります。
あともう少しですのでがんばりましょうね。
さてこのふたつの口座にはどんな違いがあるのでしょうか。
ジュニアNISA口座
「ジュニアNISA口座」というのは通常の取引や運用を行う口座です。
非課税対象になるのは以下の取引で得た譲渡金や配当金、分配金になります。
- 上場株式
- ETF(上場投資信託)
- REIT(不動産投資信託)
- 株式投資信託
課税ジュニアNISA口座
「課税ジュニアNISA口座」は「ジュニアNISA口座」での売却代金や配当金、分配金を管理する目的で作られます。(ジュニアNISA口座で再投資しないものを管理)
子供が18歳になるまではこの「課税ジュニア口座」で前述の売却代金などを管理します。(口座外に払出し(引き出し)は出来ません。)
ジュニアNISAの非課税期間である5年が過ぎると「ジュニアNISA口座」の上場株式などは「課税ジュニアNISA口座」に移管されその後の売却益などに課税されます。
※課税ジュニアNISA口座で投資を行うことは可能ですが非課税とはなりません。
「ジュニアNISA」その他の注意点
ジュニアNISAは贈与税の対象
ジュニアNISAは基本的に出資者(両親や祖父母など)から運用資金を「生前贈与」するという考え方になります。
したがって、1年間の贈与金額が「基礎控除額」の110万円を超えてしまうと「贈与を受けた側(子供)」に贈与税を納税する義務が生じますのでこちらは気をつけるようにしましょう。
株式数比例配分方式
ジュニアNISA口座で実際に買い付けた上場株式の配当金や「(※1)ETF」「(※2)REIT」の分配金を非課税にするためには「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。
※1 ETFとは株価指数連動型上場投信のことです。特定の株価指数に連動するように運用される投資信託を指します。
※2 REITとは不動産投資信託のことです。
「株式数比例配分方式」とは
「上場株式の配当金」や「ETF」「REIT」の分配金を証券会社の取引口座で受け取る方式のことで、これには所定の手続きが必要になります。この方式を選択していない場合は非課税になりませんので注意が必要です。 こちらを選択するとジュニアNISA口座以外の一般口座や特定口座で保有するすべての「配当金」についても自動的に「株式数比例配分方式」で受け取ることになります。 また、複数の証券会社で株式を保有している場合も、「株式数比例配分方式」を選択すると自動的にすべて「株式数比例配分方式」が適用されます。 ただし、ジュニアNISA口座で買い付けた「投資信託の分配金」には適用されません。 (「上場株式の配当金」と「ETF」「REIT」の分配金にのみ適用されるということです。) |
継続管理勘定
ジュニアNISAには「継続管理勘定」というものがあります。
「継続管理勘定」とは
各年で買い付けた上場株式などを非課税期間(最長5年間)が終了するタイミングでロールオーバー専用の非課税枠に移管することが出来ます。 このロールオーバー専用の非課税枠のことを「継続管理勘定」と言います。 「継続管理勘定」に株式などを移管すれば「1月1日において20歳である年」の「前年(要は高校3年生の年です。)」の12月31日まで非課税の恩恵を受けることが出来ます。 ただし、「継続管理勘定」では新規で株式などを買い付けることは出来ません。 |
※ロールオーバーとは5年間の非課税期間が終了したあと、次の年の非課税枠に保有している商品を移管することです。ジュニアNISAでロールオーバー出来る上限額は80万円です。
詳しくはこちらの「NISA初心者がまず知るべき話」をご覧ください。
ジュニアNISAの制度は2023年まで!その後はどうなる?
「ジュニアNISA制度」は「NISA」同様、期間限定の制度でその期間は2016年〜2023年になります。
「NISA」の場合は「つみたてNISA」という後継制度が2018年から始まりますが「ジュニアNISA」の場合はどうなるのでしょうか。
2023年までに「ジュニアNISA口座」を持っている子供が20歳を迎える場合は、その「ジュニアNISA口座」が開設してある証券会社などに自動で通常の「NISA口座」が開設されますので問題ありません。
この「通常のNISA口座」に「ジュニアNISA口座」で保有していた上場株式や投資信託などをロールオーバー出来ます。
はい。その場合は前述の「継続管理勘定」にロールオーバーすることで、子供が20歳になるまで上場株式や投資信託を非課税で保有することが出来るんですね。
参照:SMBC日興證券
ジュニアNISAを始めてみる
どうです?ジュニアNISAに興味は出てきましたか?
わかりました。ではジュニアNISAを始めるに当たって必要になるものを解説していきましょう。
特殊なものが必要になるわけではありませんので安心してくださいね。手続きも割と簡単ですよ。
ジュニアNISAを始めるために必要な書類
ジュニアNISAを始めるには、当然ながら「ジュニアNISA口座」を作る必要があります。口座開設の際の申し込みの流れを説明していきますね。
「ジュニアNISA口座」を開設するためには「マイナンバー」が必要になります。
「マイナンバー」とは、適正な課税を目的に2016年から各個人に交付されているものです。そのため「ジュニアNISA口座」の開設にも必要になります。
「マイナンバーカード」の申請は済ませていますか?
なるほど。大丈夫ですよ。「ジュニアNISA口座」の開設はマイナンバーカードを申請していなくても特に問題ありません。ただし、その代わりに「マイナンバー」が確認出来るものを用意しておいてくださいね。
はい。「マイナンバーカード」が無いという方は「マイナンバーの通知カード」や「マイナンバーが記載されている住民票」で代用出来ますので、どちらかを用意しておいてください。
<ジュニアNISA口座開設に必要な書類>
本人(子供) | 親権者(親) |
マイナンバーが確認出来る書類 | 住民票の写し(世帯全員の記載があり子供との続柄がわかるもの) |
本人確認書類(保険証など) | 本人確認書類(保険証、運転免許証、パスポートなど)
※なお、親権者が祖父母になる場合は本人(孫)との続柄が確認出来る戸籍謄本が必要になります。 |
証券会社の窓口には行かず、郵送にてやり取りをする場合「本人確認書類」はコピーで問題ありません。
また、金融機関や証券会社によっては住民票の取得を代行してくれるサービスを行っている場合もありますので確認してみましょう。
ジュニアNISA口座開設までの期間は?
ジュニアNISA口座を開設するには大きく二通りのやり方があり、直接「証券会社の窓口」に出向き開設する場合と、インターネット上や郵送にてやり取りをする場合があります。
直接窓口に出向く
直接窓口に出向く場合は以下の手順になります。
- マイナンバーの提示
- 本人確認書類や住民票といった必要書類の提示
- 未成年者非課税適用確認書の交付申請書の記入
- 未成年者口座開設届出書の記入
- その他必要書類の記入
インターネット、郵送
インターネット上や郵送での場合は以下の手順になります。
- インターネットで資料や申込書を請求
- 未成年者非課税適用確認書の交付申請書の記入
- 未成年者口座開設届出書の記入
- その他必要書類の記入
- 記入済の書類、マイナンバーがわかるもの(コピー)、住民票などの必要書類を郵送
そうですね。インターネットや郵送を使うのは何となくお手軽のようですが、記入事項に不備があれば審査が通らないこともあります。心配な方は直接出向いて説明を受けながら行うほうが良いかもしれません。
また、申請後、税務署において口座が重複して開設されていないかなどのチェックを受けます。このチェック(審査)は1週間から最大で2週間程度は必要になります。
税務署からの承認を受ければ晴れて「ジュニアNISA口座」が完成します。申し込みをしてからの通算で少なくとも3週間以上はかかりますので慌てず待ちましょうね。
ジュニアNISA まとめ
いかがでしたでしょうか。
本日は「今更聞けないジュニアNISA!!メリット・デメリットを詳しく解説!!」と銘打ち、「NISA」と組み合わせることで家庭の非課税枠を大きく拡げることが出来る「ジュニアNISA」について詳しく解説してきました。
ジュニアNISAに関してはその流動性リスクだけはやや気になりますが、それでも家庭の非課税枠が240万円から400万円まで拡大できるというのは、なかなか強烈なメリットです。
是非このような制度を上手に活用してみてくださいね。
【NISA関連記事】
NISAとは!?今更聞けない仕組みやメリットをわかりやすく解説!!
NISAにだってデメリットはある!!特徴を理解して老後資金をドンドン増やそう!!
つみたてNISA(積立NISA)は初心者でも安心!!悪徳業者は参入不可!!
つみたてNISA(積立NISA)を始める前にドルコスト平均法を理解せよ!!
今更聞けないジュニアNISA!!メリット・デメリットを詳しく解説!! ←いまここ
【最強節税術イデコ(iDeCo)の関連記事】
今すぐイデコ(iDeCo)を始めよ!驚愕のメリットは6つ!自分の老後は自分で守れ!
イデコ(iDeCo)でオトクに節税!現在考え得る最強の節税術はこれだ!
イデコ(iDeCo)|メリットがあればデメリットもある!イデコの特徴を知って賢く資産運用!
専業主婦やパート主婦がイデコに加入!?最低限これだけは理解せよ!
公務員の年金も安泰じゃない!!「iDeCo(イデコ)」を賢く使って老後に備えよ!
【投資の関連記事】
セゾン投信で老後破産を回避せよ!現実を直視して絶対1億円貯める!
複利と単利は何が違う!?日本人の70%が知らない複利を理解し老後資金を作り出せ!!
投資初心者は迷わず節税を勉強せよ!!節税は大きな複利効果を生む!!
ではまた^^